IT業界では若手エンジニアが早い段階で転職する傾向があり、30代以降の離職経験率は50パーセントに及んでいます。20代では25パーセントと、全世代を合わせれば4人に3人が転職経験者になります。
この割合は一般的な職種と比べると各段に高くなっていますが、その多くがスキルアップを理由としたものだといわれています。若いエンジニアはチャレンジ精神が旺盛なので、貪欲に新しい技術の修得を目指すわけです。しかし、現実の仕事としては初期工程や試験工程がメインとなり、自分がやりたい開発工程には携われなくなっています。現在の仕事で古い技術しか使えないと、必然的に新しい技術を吸収したくなるものです。
また、IT業界には「35歳定年説」があり、エンジニアとして活躍できるのは35歳までだと多くの人が意識しています。その後はプロジェクトリーダーやマネージャーとして働けますが、システム開発の第一線からは退くことになります。それゆえ、それまでに充分な経験を積んでおきたいと考えるエンジニアが多く、スキルアップのために転職するのです。
最近ではエンジニア同士の横のつながりも増えており、勉強会などで盛んに交流が行われているようです。そうした場面において情報交換が行われ、最先端技術を使った仕事の話などを聞くことになります。その中で、自分の現状に危機感を覚えるケースが多く生まれるのです。それが結果として、自分の理想とする仕事ができる職場への転職の多さに拍車をかける一因になっています。